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「キララ……好き?」
「うん、好きだよ」
突如の質問にも動揺しない。
由里姉はいつもこうなのだ。
寝ぼけると意味不明な言葉と成り立たない会話で私を混乱させる。
まぁ、もう馴れたけど。
「えへへ、よかった~」
へにゃと笑う由里姉を見をみて「何が?」と思うが口にしない。
ぬかに釘。下手な突っ込みは不毛に終わる。
長く由里姉と過ごしてきた私は学習していた。
「はいはい、よかったね。じゃあ、ベッドに行きましょうね」
やっと、由里姉の部屋まで誘導し、ベッドに放り投げる。
「うぅ……、もっと優しく~」
はだけたバスタオルを胸元に引き寄せ、ベッドで身をよじる由里姉。
激しく誤解されそうな光景だ。
「はぁ、明日には全て忘れる人に与える優しさはありませんよー」
ピシャリと言って、私は由里姉の部屋を後にする。
「あぁ、何であんなのが姉かねぇ」
ぼやいても始まらない。私は欠伸をかみ殺し、自分のベッドへと向かった。
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