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朝、思いの外しっかり眠れた。手術をすると分かってから何日間かはあまり寝れなかった。
しかし今日はしっかり眠れた。諦めがついたのか、覚悟ができたのか。
検査の結果で腫瘍が深く根付いているので手術してももう話すことは出来ないだろう。ということだった。
両親が見舞いに来た。
「大丈夫?よく寝れた?」
美優は軽く頷くとノートとペンを取った。
『よく寝れた』
「そうよかったわ。」
『テープレコーダー持ってきてくれた?』
「持ってきたわよ。はい、これ。」
『ありがとう』
美優は自分の声を残しておきたかったから持って来てと頼んでいた。
さっそく録音のスイッチを押そうとした。
「あっ、待って、先に普通に再生して。」
美優は再生を押した。
笑い声が騒がしく流れだす。
「それじゃあ授業を始めます。」担任の岡本先生の声だ。
「みんなにこの小学校の思い出を一つづつ言ってください。」
ホームルームの時間を録音したもののようだ。
「じゃあ優太君から。」
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