プロローグ

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「じゃあ次は美優ちゃん。自己紹介して」 「はーい!私の名前は桜井美優です。誕生日は4月30日です…。」 小学二年生になり、新しい友達に自己紹介をし終えた美優は、席に着いて、他の子たちの話を聞いていた。  ここは大阪府天王寺第二小学校である。学校の北側にあるのは寂れつつある小さな商店街と、住宅街。南側には公営アパートに動物園、後は畑や田んぼである。美優の家もこの辺りである。空は青く広がっていた。休みの日には近くの広場で、近所の友達と駆けっこをしたりして遊んでいた。美優は動き回ることが何より好きだった。  そんなある日、美優が学校から帰るときのことだ。家のすぐ近くの田んぼの周りに四人の大人が立って話していた。  その内二人は知っている人だ。田んぼの持ち主の竹本のおじちゃんとおばちゃんだ。去年までは田んぼでお米を作っていたが、おじちゃんが腰を痛めてので、今年は、作らなかったのだ。二人とももうお米を作る気はないのか、田んぼはほったらかしになっていた。 二人の向かい側には、スーツ姿の中年の男が二人いる。どちらも見たことない顔だ。少しすると、スーツ姿の男二人は深くお辞儀をして、車に乗って去っていった。
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