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美優は竹本おじちゃんの元へ駆け寄った。
「おじちゃん、おばちゃんただいま」
「おぉ~美優ちゃんお帰り」
「おじちゃん今の人だれ?」
「おじちゃんももう年だからなぁ、そろそろ引退しようと思ってなぁ。だから田んぼだけ残っても仕方ないから売ることにしたんだよ」
「お米作るのやめちゃうの?」
「そうだねぇ、でも仕方ないよ。息子も結婚して家を出ちゃったからねぇ」
おばちゃんの顔は少し淋しそうだ「ここ後何ができるの?」
「さぁ、よくしらねぇなぁ。聞いても教えてくれなかったからなぁ」
美優は寂しく思いながらも、自分ではどうしようもない。家に帰ってテレビに夢中になると、すぐに忘れてしまった。
一週間がたつと、工事用車両が来て、田んぼ埋め立てた始めた。日に日に工事は進められ、着々と建物の外観が姿を表し始めた。
「美優ちゃん家の近く何作ってるん?」
「知らん。お母さんが言うには何かの薬作る工場らしいけど」
「ふーん。そうや今から家こやん?新しいマンガ買ってん」
「行く!行くっ!」
「あと今日の算数の宿題教えて」
「それぐらいいいよ」
「ありがとう」
その日は、学校の友達の家で五時すぎまで遊んでいた。
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