プロローグ

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次の日、美優が朝起きたのは九時過ぎだった。普段聞き慣れない音が聞こえたからだ。窓を開けたまま寝ていたので、ゴォーンゴォーンゴォーン低い音が聞こえてくる。どうやら工場が稼働しはじめ、薬を作り出したようだ。 「たくさんの命を救ってあげてよ」 美優はつぶやくと窓を開けたまま、ごはんを食べに台所へいった。テレビを見ながらのんびりと朝ごはんを食べた。 部屋に戻ってすぐに違和感に気付く。普段嗅ぎ慣れない不思議な匂いがする。それはなんとも言い難い匂いだったが、嫌な匂いじゃない。 夏場、美優の部屋にはクーラーがない。この家でクーラーがあるのはリビングと親の寝室である。去年新しいベッドとクーラーのどっちかを買ってあげると言われた時、悩んだが美優はベッドを選んだ。  窓を締めればたちまちサウナのように蒸しあがる。部屋には相変わらず不思議な匂いが続いている。美優は動くと暑いので本を読んでいた。 ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。 咳が出てタンがからむ。 夏風邪を引いたのかと思い。寝ることにした。 ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ。 喉が痛いと思いながらも、美優は眠りの中に落ちていった。
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