プロローグ

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美優が目を覚ましたのは6時過ぎだった。晩ご飯がの匂いが漂っている。洗面所で顔を洗い、うがいをした。のどの痛みは治まっている。 竹本おばちゃん特製の大根の煮物、味噌汁、しょうが焼き、ふんわりおいしいごはん。 「美優さっき寝てたのにちゃんと起きてきたのね」 お母さんがテーブルにごはんを並べながら言う。 「風邪引いたみたい。さっきちょっと喉痛かったから」 「大丈夫か?」 お父さんが大根を頬張りながら言う。 「うん。大丈夫。お父さん今日は早いね。」 「あぁ、ちょっと良いことがあったからな。」 得意げな顔で立ち上がり、カバンから箱を取り出した。 箱には夏期ゴルフコンペ優勝とかかれている。 「今日仕事じゃなかったの?」 「違うよ、ゴルフ。優勝した喜び早くみんなに教えたかっから即帰してきた。」 自信満々だ。 「へぇ~、やる~。」 母娘がそろえて声をあげる。 父親はもう一つ箱を取り出した。美優が箱を開けるとクッキーの詰め合せだった。 「優勝賞品やけどな。」 「お父さんありがとう。」 満面の笑みを浮かべ、美優が笑う。 幸せだった。この日までは…。
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