プロローグ

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それから一週間、二週間、三週間と過ぎ夏休みが終わろうとしている。毎日喉の痛みは治らず、少しづつひどくなってる気もする。いや確かにひどくなっている。寝て夜になれば治っていたはずが、なかなかそうもいかない。 「美優大丈夫?」 お母さんが心配そうに話し掛ける。 「うん、大丈夫。」 少し痛むが大したことはない。そう思いながら普通に暮らしていた。 時間は休まず流れ続け、蝉達のオーケストラが終わり、積乱雲の夕立ももう見るのはずっと先の事となった。季節は秋。少し肌寒くなってきた。美優の喉の痛みはすっかり退いていた。 9月23日(日)午前九時 パンパンパン 火薬の匂いが辺りに漂う。「これより第30回体育大会を始めます。選手入場。」 始まりました大会大会。美優は赤組。優勝はほぼ確実。理由は赤組の先生にある。髪型はは茶髪に一部金色でショートカット。左右違う色のピアスをしている。いつも服装はジャージ。性格は元気いっぱいの体育会系。30歳で一児の母でもある。この柴崎先生は勢いが違う。一度でも担任や担当してもらうと、柴崎先生の偉大さがわかる。 (実際大学を出るまでの柴崎先生よりすばらしいと思った先生はいない) 小学校一年の時に担任を持ってもらって以来、3年の担任、4年の担任、5年の家庭科を持ってもらった。柴崎先生が持った色が負けた事はない。勝利の女神である。
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