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安っぽな酒は、喉をカラカラに渇かすだけだった。
深夜をむかえる。
頭の中じゃ巨乳なイタリア人が、トランスにノリノリなまま乳を揺らして猛りくるっていたが、この(自分の)部屋は色醒めたアドレア海のように静かだった。
秒針が回る――。
「もうこの世のジャズは死に果て、ロックは朽ちて腐っているのさ」
情熱を冷ますことだけが、大人の振る舞いと思うしかなくなってきた。
――笑うじゃないか。
「あんたはスナックをほおばり、女はイチモツをほうばるもんさ」
ご名答だな。
――笑うじゃないか。
シルバーサーファーのファーストをご丁寧にパッケージを破らず、レイアウトしてる自分に明日はあるかい?
冷めたフライドチキンにむしゃぶりついて、ポテトチップスをほおばる。
腹を満たす。
「数字は5が好きだ」
「14も悪くない」
巨乳なイタリア人が乳を揺らしながら、微笑んでいる。
小さな至福を手に入れる算段を内々に秘めながら。
――笑うじゃないか。
完
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