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『これは車よ』
藍が眉をひそめた。
『どこから持ってきたのですか』
それを聞くと紫は嬉しそうに隙間を広げて見せ、藍はわざと大きなため息を吐いた。
『おっきいなあ、おっきいなあ』
『これはね、乗れるのよ』
橙が大喜びで車の周りを駆け回っているのを見て、だめ押しとばかりに紫が黒色の車の鍵を開けると橙は目を輝かせた。
『紫様、これ乗っていい?』
『ええ、いいわよ。橙は右側の席に乗りなさい』
猫は堕ちてしまった。
やったーやったー、と言って乗り込む猫を尻目に狐は車の前に立ちつくした。
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