八雲ドライブ

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『うわっ、揺れ始めた』 紫が教習テキストを片手に鍵を回し、ハンドブレーキをあげるとディーゼル排気音と共にエンジンが動き始めた。 しかし、いつまでたっても車は発進しなかった。 この車は西欧人向けに作られたためレッグスペースが広く、紫の足ではアクセルに届かなかった。 『あの』 『なに?』 『あそこにゴミがついています』 橙が指さした先を見ると、なるほどボンネットの上に三つ星形のエンブレムがついている。 『橙、あれは多分』 『あらあらあら、本当。取らないと』
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