‐序‐

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‐バチカン‐  パウロ、久しぶりだな?  ずいぶんモウロクしたようじゃないか? 「……確かに。でも私は貴方と違い最も敬愛する方の元へ帰れますから……」  ふん、相変わらずだな? 「……それより?」  ん?  そこまでモウロクしたのか?  お前は良くやって来たが、それも終わりだと伝えに来たのだ 「……あなたは、未だゲームをお続けになられるか……」  ふん、お前は誰かと同じ事を言う 「……どうしてあなたほどの方がお気づきにならないのです?」  ……ふん、お前達こそ“奴”を徹底的に裏切った挙句に良き羊飼いでございます、か? 「……人は罪を犯します……。そしてその罪を一生賭けて償い……」  やめろジジイ!  もうすぐ地上は私のものになる!  その時までお前が生きていない事が残念だよ! 「(笑い)……私も残念です、あなたが再び敗れ地獄へと帰ってゆく姿が見れないのですから……」  ――ちっ、『信頼』か…… 「……あなたは未だ私の罪を探しておいででしたか……」  俺の喜びだからな 「(溜め息)あなたに祝福を……」  やめろ!  とっとと父の元へ行くがいい! 「(不意に呼吸が乱れる)……はい、そして、あなたと、再び、主の元で、まみえる事が出来るよう、祈っていますよ……」  ……ふん!  ――漂う煙り――……。  そして微かな硫黄の香り……。  街に鐘の音が響いたのは、もうしばらく後の事であった。
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