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「……えっ?」
聞き取れなかったわけじゃないが、耳を疑うようなその言葉に、思わず聞き返してしまう。
「だから、ひょっとしたら涼夜君には彼女が居るかも――って何処に行くのよ」
「いや、そろそろお刺身の上にタンポポを乗せる作業に戻らないと……」
「分かり難い逃避ねそれ!」
先輩は私の袖を掴むと、再び正面に座らせた。
「でも……。この前涼夜は彼女居ないって言ってましたけど……」
そうだ。確かに涼夜は彼女は居ないって言ってた。
「なんで先輩は涼夜に彼女が居るかもと思ったんですか?」
「んーー。こないだね、B棟の前にあるベンチで、涼夜君が女の子と一緒にお昼食べてるの見たのよ。しかも、お昼は涼夜君が買ってきてたみたいだから、ひょっとしたら付き合ってるのかなーって……」
女の子と……二人で……一つのベンチで……昼食……?
しかも……ご飯は涼夜が買ってきてた……?
「あの浮気者めーー!今度会ったらケツの穴から手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタいわせてやる!!」
「ちょっ!女の子がケツの穴とか言わないの!それに浮気じゃない、浮気じゃない」
「まぁ……、そうですけど……」
綾香先輩のツッコミに、ヒートアップしていた気持ちが少し落ち着いた。
「とにかく、それについても確かめなきゃいけないようね。大丈夫。携帯の番号も自然に聞けて、彼女問題も一気に解決!そして少しは親密になれちゃうようなミラクルな案が私にはあるんだから!」
「おおぉ!」
「まぁ、実際に彼女が居たときは玉砕になるわけですが……」
「せんぱーーぃ!」
思わず泣きそうな声になりながら、綾香先輩を非難する。
そんな私を見て、余計な事を言ってしまったと思ったのだろう。
取り繕うように笑顔を浮かべると、
「あ、あのね!その案っていうのはね――――」
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