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先輩が辺りを見回す気配が伝わってくる。
その時、ビニール包装が破られる音が聞こえ、『はむっ』と女の子がメロンパンに噛り付く音が聞こえた。
買収成功ぉぉぉぉぉおお!
その音に気付いたのだろうか、先輩の足音が近付いてくる。
「なぁ君。さっきこっちに男が走って来なかったか?」
息を切らせた先輩の声。
「…………」
女の子は黙っている。
まさか俺を売る気か!?
頼むぞぉぉぉぉおおおお!
「……その人なら、校舎の中に入った気がします」
よっしゃぁぁぁあああ!
握る拳に力が入る。
「ありがとう!助かった」
先輩、全然助かってませんよ?
遠ざかる足音が聞こえなくなるまで茂みの中に身を隠す。
「ふー、助かったよ……」
先輩の姿が完全に見えないことを確認し、俺は草むらから出て礼を言った。
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