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◆ ◆
午前中の講義が終わり、席を立つ。
「んーー!」
強張った筋肉をほぐすように大きく背伸びを一つ。
「おー、千草。伸びてるねー」
同じ講義を受けていた友人の智子が話し掛けてきた。
「んー、ノートをとってた姿勢が悪かったみたい。なんか体が強張っちゃった」
言いながらもう一度腕を大きく上げて背伸びをする。
「こらこら、はしたない。可愛いお腹が見えてますぞ?ツンッと」
「キャ!やだ、触らないでよ」
素肌に感じるくすぐったさを振り払い、ジャケットの前を合わせてしっかりガードする。
いきなりのセクハラ攻撃。
これは訴えれば勝てるんじゃないだろうか?
「セクハラの損害賠償としてお昼ご飯を要求します!」
今月は小遣いがピンチなのよね。
ここは一つ、セクハラの代償にたかっておくのが良策ってものでしょう。
「なに手を出してんのよ。おごらないわよ?今月はあたしだってピンチなんだから」
「なんだ、私と同じか」
それじゃたかる事すら出来やしない。
「で、昼飯どーすんのよ。学食行く?それとも買いに行く?」
うーん、どうしようか?
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