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しばらく話し合ったけど、結局売店で買おうという話しになった。
「まぁ、外のコンビニ行くの面倒くさいしね」
「そだね」
うなずいて立ち上がる。
廊下に出て階段へ向かうと、前から見知った顔がキョロキョロしながら歩いてきた。
「よお進藤」
「こんにちは先輩。どうしたんですかキョロキョロして。誰か探してるんですか?」
先輩は私の言葉にうなずいた。
「あぁ、涼夜の野郎を探してんだが。見なかったか?」
その先輩の言葉にドキリとする。
涼夜がどうかしたのかな?
「いえ、見てないです。りょ……、神崎君がどうかしたんですか?」
あ、危ない!
危うく涼夜って言っちゃうところだった。
私は普段、彼の事を神崎君って呼んでいる。
涼夜と呼ぶのは心の中だけだ。
一瞬言いかけたせいでそれを知られてしまったような気分になり、羞恥心がわき起こる。
そんな私の動揺に気付かず、先輩は頭を掻きながら答えた。
「あの野郎。昨日寮で騒いだ罰に俺の資料整理手伝わせようとしたら逃げ出しやがったんだ!」
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