はじまり

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急いで近付き、後ろからチラッと横顔を見る。 間違いない、涼夜だ! 見つけられたことに安堵し、ホッと胸を撫で下ろす。 で、でもなんて声を掛けようか……。 見つけることばかりを考えていて、すっかりそこを失念していた。 正直な話、私と涼夜はあまり親しい間柄じゃない。 原因はまぁ……これも私にある。 反省はしてるんだけどなぁ……。 でも涼夜だって悪いと思う! 涼夜は私を避けてる節があるから、あまり会話だってしてくれない。 研究室の飲み会で一生懸命話そうとしても、いつも遠くの席に座るし、私が来ると先に聞いただけで帰ってしまうこともあるらしい。 そんなに避けなくったっていいと思う! だから顔を合わせれば文句を言ってしまうし、意識してしまうからどうしても上手く話せない。 だから何となく私の気持ちに気付いている友達には「あんたバカぁ?」とか言われるし、さっきの智子みたいにからかわれてしまうのだ。 「あんたは小学生か?」 と言われた時はさすがにへこんだ。 それからはなんとか普通に会話をしようと試みたのだけれど、それでも上手く話せない。 そろそろ本気でなんとかしないとなぁ……。
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