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俺の絶叫に、綾香先輩は首をかしげながら、 「いつからって言ったって、たいして見てないわよ。確かゆゆちゃんが『涼夜さんにお願いがあるんです』って言った辺りからかしら」 そう言って意地の悪そうな笑みを浮かべた。 最初っから……だと!? 「ホライゾン君、凄いもの見ちゃったね」 「ああ、これがイベントシーンってやつか」 口元を手で隠しながら頬を赤らめる恵子さんに、ホライゾンが冷静に答える。 「しーねーばいーのに、しねばいーのに、しんでしーまえーばーいーのに」 谷口は物凄く爽やかないい笑顔で、マイク片手にどこかで聞いた曲を熱唱している。 「ねえ、何?どったの?」 声も出さず、滝のような汗を垂らし続ける俺に氷口が首をかしげる。 その言葉が引き金になり一連の流れが脳内で再生され、カッと体温が急上昇。 流れる汗はとまることを知らず、まるで服ごとシャワーを浴びたかのような感じになってしまった。 ちぐさとゆゆは、二人とも口元を押さえながら真っ赤になってうつむいたまま答えない。 「ねえ、ねえ」 氷口は戸惑うようにホライゾン、綾香先輩と首を巡らす。 黙って首を振るホライゾンと、ニヤニヤしたまま何も答えない綾香先輩。 皆が黙して語らぬ中、 「しーねーばいーのに、しねばいーのに、しんでしーまえーばーいーのに」 いい笑顔のままエンドレスでサビの部分を歌い続ける谷口の歌声だけが、今までの平凡な日常から形を変えてしまったような空気を持つ部屋の中に響いていた。
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