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「まぁまぁ……」
俺が殴られた理由は分かってないだろうが、いつものことなので氷口が間に入ってなだめてくれる。
でも違うぞ氷口。
そういう時は『どーどーどー』って言うんだ。
それでも少しの間、顔を赤くしながら俺をにらみ付けていたちぐさは、ふと何かに気付いたように視線を巡らせた。
その視線は目の前に居る氷口に固定される。
「あら氷口、あんた……」
その言葉に氷口の顔がパッと輝く。
「おっ!気付いてくれた?やっぱり分かるよね。いやさ、自分でも最初は少しだけどーかなーって思ったんだけどさ。慣れるとそんんなに悪くないってゆーか、だんだん輝いてるように思えてきたってゆーか。ついに俺の時代来ちゃったんじゃね?実はさ、さっきからけっこう視線とか集めちゃったりしてんだよね。すれ違いざまに振り返ってくる子とか何人か居てさ!あーこれ、俺の時代来ちゃったかなー!で、進藤さんはどう思う?」
「うん、凄く汗臭い」
少しして購買に行っていたホライゾンが戻ってきた。
ちぐさと並んで座っている俺の隣に荷物を置き、少しだけ周りを見回した。
「氷口は?」
「泣きながら帰った」
「把握した」
把握された。
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