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こうなったら話を強引に変えるしかない。
このまま話が変な方向に走ったら、どんどん泥沼にはまる気がする。
誤解は後で解くとして、まずは話の矛先を変えて進藤さんを落ち着かせよう。
「ところで進藤さん。何か用事かあったんじゃないの?」
その問いにハッと表情を変え、
「そ、そうだったわ」
と呟いた。
「そうそう。だからあんな話よりもそっちを……」
そう言った途端、進藤さんのエンジンにまた火が入った。
「あんな話とは何よ!私の事エッチな目で見て、ややや柔らかいとか、あああ甘い香りとか言ってたくせに!」
完全に失敗した。
言葉の選び方を間違えた。
そして事実を突かれた恥ずかしさと、どうにか話を変えなければいけないという焦りから、俺の言葉も自然ときつくなってしまう。
「そ、そんな事よりいきなり人を追いかけてまで伝えようとした用件を言えよ!」
「いきなり追いかけたなんて人聞きの悪い言い方止めてよ!私はあんたが逃げたから追いかけたのよ!」
ハッと気付いた時にはもう遅い。
売り言葉に買い言葉で火の付いた進藤さんは、最初に見せた鬼のような瞳で再び俺をギラリと睨み付けた。
息を吸い込み、罵倒が続の時、進藤さんが俺の後ろに何かを発見した。
「あっ!先輩ーー!捕まえた!バカ神崎捕まえたーーー!!」
なっ!?
背後を振り返ると、凄い勢いで先輩が突進してくるのが見えた。
そうか!進藤さんは先輩に俺の捕獲なんて面倒な用事を言い付けられたから怒ってたのか!
気付いた時にはもう遅い。
二人に挟まれ逃げることすら出来ずに、そのまま先輩に捕まってしまった。
「よし進藤、よくやってくれた。感謝する!おら涼夜、とっとと来やがれ!次逃げたら今度の飲み会で潰すからな!」
その言葉にガックリと肩を落とす。
酒の席での先輩の怖さは知っているからもう逃げられない。
そんな俺を見て進藤さんは意地の悪い笑顔を浮かべながら、ヒラヒラと手を振っていた。
ちくしょう!怨んでやる……。
先輩に引きずられ、その場を去る。
最後に己の仇の姿を瞳に刻もうと振り返ると、進藤さんは頭を抱えながら地面にうずくまっていた。
…………何故に?
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