再び

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せっかくの温かいコーヒーに手も付けず、取り扱い説明書とにらめっこをしていたゆゆが顔を上げた。 「なんとなく分かりました。涼夜さん。よ、良かったら番号教えて頂けませんか?」 遠慮がちに尋ねてくるゆゆに、俺はもちろん笑顔で頷く。 「もちろんOK!赤外線登録のやり方分かる?」 「ちょっと待って下さい」 俺の返事を聞いたゆゆは嬉しそうに微笑むと、再び取り扱い説明書を開いた。 「えーと……。ありました!大丈夫です」 携帯を開き、取り扱い説明書と見比べながら操作を進める。 「お待たせしました」 準備を終えて待っていた俺に携帯を近付ける。 センサー部分を合わせて操作を行い、正常に終了したことのメッセージを確認した後、携帯を離した。 「あっ!電話帳に涼夜さんの名前が載りました!」 はしゃぎながら画面を覗き込み、確認している。 恐らく、まだ俺の番号しか登録されていないのだろう。 「えへへ。涼夜さんは私の初めての人です……」 他人が聞いたら誤解を招きかねない台詞を口にしつつ、携帯を操作している。 もう、その言葉だけでご飯三杯おかわり出来そうです! 鼻の下を伸ばしていると携帯が鳴った。 「……もしもし?」 通話ボタンを押して電話に出る。 「もしもし、涼夜さんですか?私です。ゆゆです。へへへ」 携帯から聞こえる声と、正面から聞こえる声が重なる。 その可愛らしい声が、少しだけ耳にくすぐったい。 「いったい何をやってるんだか……」 少しだけ早くなった鼓動を隠すようにおどけつつ、電話を切って苦笑する。 ゆゆはそんな俺を見ながら楽しそうに笑っていた。 その後は、少し他愛ない話をしてから家路についた。
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