亘side

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アヤちゃんに、美鶴をびっくりさせるがかりに任命された僕は、 そうっと美鶴の部屋のドアを開けた。 足音を忍ばせて美鶴のベットへ近付いて のぞき込むと、目を閉じた美鶴の整った顔。 眠りの森の美女みたいに綺麗… はちみつ色の髪が、白い頬にかかっていて 除けようと僕は手を伸ばした。 「っ?!」 いきなり視界が逆転して、何が起きたのかわからない僕の目の前には、 満面の笑みの美鶴。 「亘、おはよう。」 「お、おはようみつる…」 反射的に返してから、やっと何が起きたかわかる。 僕は美鶴に腕を引っ張られて、布団に引きずり込まれたんだ… 「美鶴!起きてたの?!いつから?!」 「亘がドア開けたときから」 「なっ!」 「つづきは?」 「?つづきって…」 「亘俺にキスしようとしてたん」 「ち、ちがうよっ僕は美鶴の髪を!」 「ふーん」 「ほんとだよ!」 「誰も嘘だなんて言ってないだろ。 どっちにしろ亘が俺にキスするまで起きないけど」 「え?!っていうか美鶴もう起きてるじゃん」 「はぁ。ベットから出ないってことだよ」 なんでこんな呆れたみたいにため息ついて言われるの?!僕間違ってないよね?! 「もー美鶴、アヤちゃん待ってるし、ご飯冷めちゃうから早く!」 「亘がキスすればすぐ起きるけど」 なんで今日の美鶴はこんなに分からず屋なんだろう… 僕からキ、キスしたことなんてないから、恥ずかしすぎるよ… だけど、アヤちゃん待ってるし… ご飯冷めちゃわないうちに食べてほしい… よしっ! 「こ、これでいい?!」 「及第点、かな。次はここな」 そういいながら美鶴はフッて笑って(かっこいいと思っちゃう自分が悔しい!) 固まってる僕の唇を指でなぞって、さっさと部屋から出て行った。 ほっぺであんなに緊張するのに 口なんてぜったいむり! っていうか及第点ってどういう意味? 僕はちょっとパニックに陥りながら 慌て美鶴のあとを追った。 そんなあるお休みの日の朝のこと おわり →あとがき
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