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「って、そんな事どうだっていいよ!さ、さ、早く早く!」
魔法を”そんな事”と言える程に未来の魔法学(彼女らは法術と言うらしいが。)は高レベルまで進歩しているらしい。俺らからすりゃ”そんな事”じゃすまないくらいのサプライズなんだが。
「っと・・・こら引っ張るなっての。」
「急がないと、学校遅れちゃうよ!」
アルファさん満面の笑み。
・・・こいつ何しに来たんだっけ。
「と。いうわけで。」
☆
人気者が祟り今学期委員長を勤める事になってしまっている俺が、教壇に立ち一際注目を集めているピンクがかった不思議な編み込み髪の女の子に皆の注意を促しつつ言った。
「えー、これから僕らと一緒に勉強します・・・あ。」
言っ・・・
「一緒に・・・勉強します・・・」
言っ・・・
「い・・・」
言っ・・・えねぇよ”アルファ”だなんて!!!
そう、ここで俺は重要な事実に気がついた。
―――名前どうしよ・・・。
自慢じゃないが、俺の機転の利かなさといったらない。マジどうしよ。皆見てるよオイ。
そんな風に俺がオロオロしている時、意外にも真っ先に行動を起こしたのはアルファだった。
「・・・・・」
ブツブツと、何かよく聞き取れない言葉を呟きながら右手を挙げ、ひとつ大きく言った。
「冬子君ふせて!」
刹那、俺は嗚呼またお得意の裏ワザですかそうですかと口にしそうなのを押さえ、その場にしゃがみ込んだ。そしてそれとほぼ同時にアルファが叫ぶ。
「歪みの象徴、Σ(シグマ)!」
瞬間、耳を突くような高音が教室を駆け抜ける。やべ、一応伏せたけどこれ俺にも来てんじゃねーの。頭くらくらしてきた。
しかし、他の生徒達にはもっと大きな変化があった。あるものは口をぽかんて開け、あるものは机に突っ伏し、先生に至っては床に倒れ・・・
「っておぉぉぉい!?何やってんだよ、コレ死んでないか!?」
クラス全員が気を失ってる。
驚き、アルファの肩をがくがく揺らしながら悲痛に取り乱す俺に対しアルファは
「あー・・・だいじょぶ、だいじょぶ!ちょっと加減を間違えただけだって!きっと、明日になればパッチリ目を・・・」
「明日じゃ遅ぇよ?!しかも何顔青くしてんだお前は!失敗か。失敗なのか、失敗なんだな?!」
詰め寄る俺。しかしアルファは不自然に目線を反らし。
「だいぢょうぶ・・・きっとだいぢょうぶ、だいぢょうぶ」
なんてこった。自己暗示してやがる。
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