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アルファもオロオロとしていて頼れる感じでは無い、ましてや俺個人なんかただの一般人だ。何の力も無い。故にこんな状況打開のしようが無い。
「目覚まし時計を沢山持ってきて、いっせいに鳴らしたら起きるかな?!」
「くそっ、それを本気で言うのかよ!」
完全に目が据わっちまってるアルファに突っ込む。
「いやまて・・・ほら、お前が1番最初に使った法術あるだろ、あの爆発のショックで・・・」
「と・・・冬子君こそ、それ本気で言ってるの?」
駄目だ、麻痺してきた。感覚っつーか常識が。
「あ~だったら!どうすんだよこの状況!誰かに見られでもしたらっ・・・」
そう、俺が感情に任せまくし立てた時だった。
「・・・もう、見てる。」
「「っ・・・!?」」
アルファと俺が、同時に息を呑んだのが解る。
第三者である誰かが、俺の傍らに立っていた。
くすんだ白のショートカットに、アルファよりも一回り小さな体に纏う漆黒のロングコート。長かったものが破れてできたのであろうショートパンツからは、白い足が剥き出しになっている。
そんな少女が俺の傍らにいた。
(このちびっこ・・・いつの間に・・・?)
いくら俺達が取り乱していたとはいえ、入ってくれば気付かない筈は無い。
気配が、まったく無かった。
「お前、何なん・・・!」
俺が言いかけた時だ。
「しーちゃぁぁぁんっっっっっ!!」
「なっ!?」
混乱していた筈のアルファが、彼女を見るなり奇声を発しながら彼女に飛び込んでいった。
一回り大きなアルファに飛び掛かられ、しーちゃんと呼ばれた少女が力任せに押し倒される。
「会いたかったよぅ、ちゃんとご飯食べた?ゼリー飲料ばっかじゃ駄目なんだよ?作ってあげたオムライス、美味しかった?」
とにかく再会を喜んでいるようで。いつか俺がかけられたような言葉を、次は彼女に言っている。その目には涙なんか浮かべちゃったりして。
そんなアルファに抱き着かれてる彼女が、肩越しに俺を見、口を動かした。
(は・が・し・て。)
はがして?
(こ・れ。)
彼女が、抱き着きぐりぐりと彼女にほお擦りしているアルファを指で示した。
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