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しかし彼女の口調には、先ほどまでの事務的機械的な要素が含まれているような気がしなかった。
むしろ、どこか嬉しそう・・・というか。
そんな事をぼんやり考えているうちに、目の前の球体は光の雨の放射を止め、大きさも徐々に縮小していった。
「終わり。すぐに目を覚ます。」
「そうか・・・良かった、悪いな、シータ・・・だったか。」
振り返り終了を告げるシータに礼を言う。
「ん・・・んぅ?」
気絶していた生徒達が一人一人徐々に目を覚まし始めた。
「俺・・・何してたんだっけ?」
「ホームルームだよな・・・?」
「転入生・・・そうよ、転入生の自己紹介じゃない。」
消されたギリギリのとこまでの記憶も、段々思い出されてきているようだ。裏ワザ恐るべし。
それを確認すると、シータは廊下に出、こちらの観察に移る。
そしてアルファはというと。
たんっ!
「今日から一緒に勉強させていただきますっ!」
教壇に堂々と立ち、宣言するアルファ。いいぞ、思いっきり偽名を名乗っちまえ!
「遥か遠くの外国から来ました!」
は・・・?外国?何だよその設定
廊下で待機中のシータを見ると、彼女もまた眉間にシワを寄せ疑問の色を浮かべている。
「あたしはっ・・・!」
ゴクリ。
俺とシータが、固唾を呑む。
「アルファでーーーーす!!!」
うおぉぉぉおおおい!?言っちゃったよこの子!シータさんが頑張った意味解って無いよこの子!?
その刹那、廊下から黒い影が飛び出したかと思うと、檀上のアルファを掻っ攫い廊下に引きずり出した。シータだ。
「アルファ・・・そこに座る。」
「え・・・!?し、しし、しーちゃんっ・・・!?」
嗚呼、怒ってるなぁ・・・しーちゃんさん。
「・・・この、大馬鹿娘。」
ごつん!
「ひぃっ!?」
アルファの頭に鉄拳が飛ぶ。
「な、なな、何で!?」
「自分の胸に聞いて。その、忌ま忌ましい、デカ乳に。」
「ひぃーっ!」
何処か私情を感じる折檻なのだけど・・・とりあえず。
「えぇ・・・というわけで。ホームルーム、終わります。」
そう言い残し、俺は両手にアルファとシータを抱え走ったのだった。
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