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「うわっ!」
「きゃん!」
俺は咄嗟に飛びのく事で被爆を免れた。後に続く可愛いらしい声は今現在落ちて来た女の子のものだ。
もくもくとした煙が風に流れ、先程まで俺のいた地面が黒焦げになっているのが見えた。
と、俺は煙の向こうに落下してきた彼女を見つけ、声をかける。
「おい・・・あんた、大丈夫か?」
すると直ぐに答えが帰ってくる。
「ちゃ・・・着地せいこぅ・・・あ、スカート切っちゃった。」
彼女はそのまま立ち上がろうとする。
「ちょっ・・・!見えてるから!立つな立つな!」
白い生地の布が見え、俺は咄嗟に目を背けた。タラシは俺の代名詞だが、しかし紳士な心は忘れない。
「あ、そっか。男の子だもんね。」
切れたスカートのはしを摘み、今度は気をつけながら立ち上がる。
「はい、おーけー」
「・・・あんた、何なんだよ。」
有り得ない場所からの登場や不可解な爆発。一体どこの特撮かと思ったぞ。
「え・・・あっ!?あぁ、そのお話はまた後でー・・・」
あせあせと、彼女が慌てた様子で言い、続けた。
「それはそうとさっ!ほら、あそこに倒れてる可愛い子!あの子に用があるんだけど・・・」
彼女が指を指す。その方向を振り向くと、そこにはついさっきまで俺と口付けを交わそうとしていた方の彼女が気絶して倒れていた。真面目な子だったからなァ、あまりに非現実的な出来事にやられちゃったんかな。
「彼女、本条冬子(ほんじょうふゆこ)ちゃんでしょ?」
落下の方の彼女が背丈の割に豊満な胸を張る。
「は・・・?違うけど。」
そんな名前は聞いた事がない。というよりむしろそれって・・・
「もしかして、本条冬子(ほんじょうとうし)じゃないか?読み方。」
「え?えーっと、ちょっと待ってね?・・・はい、あたしです。えと、目標の子の名前なんですけど・・・え!?そうだったんですか!?や、最初に言って下さいよー、あたし恥かいちゃったじゃないですかァ・・・む、失礼ですよ!漢検くらい持ってますもん!・・・六級ですけど。」
彼女は、俺との会話の途中からいきなり携帯電話を取り出し誰かと訳の解らない話をし始める。
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