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「とっ・・・どにがぐっ!ぐしゅ、目標には会えましたもん!何にも失敗してないもん!次こそ五級受かるんだもん!馬鹿ァ!」
何故だかベソをかきだした彼女は携帯電話を本来折れるはずの無い方向に折り曲げて破壊し投げ捨てた後、涙を拭いぐしゅぐしゅ言いながら俺に言った。
「あたしがっ・・・ひくっ、あっあっ・・・頭悪いんじゃないもん。読みにくかっただけだもんっ!ひっく・・・五級くらいっ・・・ぐしゅ、受かるんだもん!」
(何しに来たんだこの子。)
しかしてそれから俺は、5分間ほど彼女の慰めに当たった。
それからは大忙しだ。
気絶してる方の彼女を学校の保健室まで持って行き、それに便乗して俺自信も教室に戻ってしまおうとしたところを落ちてきた方の彼女に涙目で睨みつけられ(どうやら俺に用があるらしい。)仕方なく学校は風邪と言って休む事にした。
「・・・で。」
「うん。」
そして今、俺と落ちてきた方の彼女は俺の家の居間に座り向かい合っていた。
「まず、名前だけど。」
「わかるよ!本条冬子(ほんじょうとうし)君!」
「いや、俺のじゃなくて。」
俺は彼女を指差す。すると彼女は怪訝な面持ちで自分を指差し、言う。
「・・・あたし?」「そう、君の名前。」
しかし釘を指しても、彼女の表情に変化は無かった。
「自分の名前くらいわかるだろ?」
「んと・・・でもぉ・・・」
「何だよ、早く言えって。」
「・・・無い!」
「・・・は?」
無い?無い、ってのはアレか。Nothingか。
「な、無い事ないだろ。」
虚を付かれた返答に多少戸惑いながらもいい返す。
「んー、名乗る程の名前は無いって言うか・・・あ、でもでも”総監”はあたしの事アルファって呼んでるよ!もちろんあだ名だけどね。」
総監?なんだろうそれは。
「上司!」
・・・ますますわからん。
「・・・じゃあ、な。君はどっから来たんだよ。空から登場って位だから、相当普通じゃなさそうだけど。」
言って、改めて実感する。あぁ俺はなんか踏み込んじゃいけない領域に踏み込んじゃったんだろうなと。激しく後悔。
「2099年。」
泣きっ面に蜂。空が割れて女の子でてきてフロムフューチャーかよ。どこのガキが考えた筋書きだ、いるなら出てこい小一時間説教してやるから。
頭痛がした気がして、額に手を当てながら言う。
「・・・じゃあ何か。未来から来ましたよ、と。」
「そうだよ?」
帰っていいか俺?家ここだけど。
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