第十章・・・屋根裏部屋

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●屋根裏部屋の花嫁の正体     気味の悪い屋根裏部屋で、一人悲しげにたたずむ花嫁の亡霊は、マスター・グレイシーの二番目の妻であるエミリー・カバノフ・グレイシーである。   彼女はロードアイランドの大金持ちの家に生まれ、金銭的に恵まれた環境で育った。 しかし、最愛の両親が列車事故で急逝してしまう。悲しみに暮れる彼女だったが、マダム・レオタの紹介で出会ったマスター・グレイシーと恋に落ちて結婚。 だがこの結婚は、マダム・レオタがエミリーの持つ莫大な財産を狙っての計画の一部に過ぎなかった。   エミリーが初めて屋敷に来た1941年11月1日。 彼女を殺す機会を狙っているマダム・レオタの前で主人とエミリーは屋敷の中で「かくれんぼ」を始めた。   エミリーが屋根裏の大きなトランクの中に隠れたとき、マダム・レオタはそのトランクに鍵をしてしまった。   閉じ込められたことに気づいたエミリーは必死に助けを求めたが、誰も気づかずトランクの中で窒息死してしまった。   その後、エミリーの変わり果てた姿を発見した主人は悲しむ一方、遺産目当ての結婚だと勘違いされないように、グレイシー家の中で密かに葬儀をやってしまった。   葬儀が済み、主人がエミリーの死体が乗っている霊柩車の御者席に座っていると、突然馬が暴れだして主人は地面に投げ出され、暴走した霊柩車は闇に消えてしまった。   数日後、屋敷の使用人たちが霊柩車を捜索したところ、彼らは見事に発見した。     しかし、霊柩車の中は空っぽで、エミリーの死体は何処かへ消えてしまったという。
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