第十一章・・・墓場

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●合唱するそのほかの亡霊たち     ドゥームバギーがさらに進むと、そこには補聴器をつけた時の翁という時間を操る老人と、彼によってよみがえったミイラがグリム・グリニング・ゴーストを歌っている。   その次にはオペラ口調で歌う男女と首を持って歌う騎士、斧を持った亡霊、髭を生やした小さな亡霊がいる。   まず、髭を生やした小さな亡霊はガス・グレイシーといって、マスター・グレイシーのいとこである。彼については後ほど。 ほかの四人は兄弟であり、長女はオペラ歌手のカルメン・ジョーンズ。隣の男性が長男アントニオ・ジョーンズ。自分の首を持って歌う騎士が次男ジョヴァンニ・ジョーンズ。そして斧を持つのが三男ロコ・ジョーンズである。     彼らは幼い頃から芸に親しみ、兄弟で一つの芝居を行っていた。両親の死後である1937年3月4日。彼らはグレイシー家で芝居の公演を行った。 公演にはスペシャルゲストとしてガス・グレイシーも参加。舞台は順調に始まったかに見えた・・・       が、トラブルは起こった。まず、リハーサルの段階でジョヴァンニがロコに誤って首を斬られるという惨劇が起き、パニックになったところで残りの三人は、舞台裏でガスが火をつけた燃料タンクの爆発で死亡。   一方そんなことも知らない興奮した観客に対して、ガスは一人で舞台に上がり、盛大な拍手を受けたのであった。
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