第十二章・・・地下室

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●ヒッチハイクをする三人の亡霊     地下室でヒッチハイクをする三人の亡霊。彼らは旧知の仲であり、向かって右にいる背が小さく髭を生やした亡霊は、前章でも紹介した主人のいとこのガス・グレイシーである。 その隣にいる背の高い痩せたのはフェニアス・キーグという亡霊。 左側の太った亡霊はエズラ・ドビンズという亡霊である。   彼らが最初に出会ったのは刑務所の檻の中。 なぜ彼らがそこで出会ったのかというと、まず、ガスは幼い頃から両親の虐待に苦しんでおり、それが原因で歪んだ性格となってしまい、他人の家のペットや野生の動物を殺して楽しんでいた。 彼は動物の命を絶つという行為に夢中になってしまい、ついには自分の兄弟まで手にかけようとした。 が、両親に事が発覚して、彼は危険人物として刑務所へ送られた。   次にフェニアスは、元は科学者だったが落ちぶれて、自分が開発した怪しい薬の販売人となった。 彼は発毛剤を開発して巧みなセールス術で薬を売りさばいていたが、実際彼の薬の効果は正反対で、脱毛の効果が出てしまい、多くのクレームの末、彼は刑務所送りとなってしまった。   次にエズラだが、彼はのぞきを趣味とする信じがたい男だったが、特に彼は自分と同じく太った体格の女性が好みの変態であった。 あるとき彼は、でっぷりと肥えた市長の娘に目をつけて彼女の部屋に侵入したが、見つかってしまい刑務所へ送られた。   こうして三人は奇妙な運命により出会ったわけだが、彼らは固い結束の下、脱獄を図る。   彼らは苦闘の末に脱獄に成功し、それからはヒッチハイクを続けて旅をしていた。   そして旅の途中でお祭りがやっていたので彼らはお祭りを楽しむことにした。   それが、彼らの悲劇であった。       まず、フェニアスとエズラは新薬品の試供品を配布している屋台に行って、誰も恐ろしくて手を出せないような薬品を試し飲みしていた。   だが、直後フェニアスは鉛中毒で失神。死んでしまい、間髪入れずにエズラも薬の作用で死んでしまった。
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