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半ば朦朧とするなかで、No.18の口をついて出たのは、『無意識』のうちに抱いていた『傷』だった。
「どうせ……あんたも……。俺を少佐殿の代わりとしか、見ていないんだろ……。ならば、願い下げだ」
その言葉を受けて、サードが笑った。
今までの皮肉を含んだ笑みではなく、心底おかしくてたまらない、というような笑いだった。
その笑い声に、No.18は忌々しげに目を細める。
「何がそんなにおかしい……?」
「君の反応は、極めて常識的だ。惑連の技術の成せる技かな。最近では珍しいくらいだ。だからこそ、引き抜きたいと思った訳さ」
解らない。
何が事実で、何を拠り所にすればいいのかが、解らない。
これまでにないほどの頭痛が、No.18を襲う。
それに追い討ちをかけるかのように、サードの笑い声が脳裏にこびりつき、離れなかった。
「……そんなに、面白い、か?」
「面白いと言うよりは、新鮮だな。見ていて飽きない」
「……俺は、あんたのおもちゃじゃない……」
「いや、我々は『doll』だ。他でもない、人間達に都合の良いように造られた、玩具に過ぎんのさ」
淡々と語るサードの口調に、いつしかNo.18は引き込まれていた。
すべてを奪われてなお足掻き続けるサードに、No.18は空恐ろしさを覚えずにはいられなかった。
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