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朝、目を覚ますと隣にいるはずの彼がいなかった
「―――何してるの」
「あ、おはようさん。いつも朝御飯作って貰ろうとるからたまには――な」
と、彼がフライパンを返す
どうやらオムライスを作っているようだ
ていうか料理できたんだ
「もうすぐしたら出来るから座ってて」
「うん」
と言いつつ視線は彼へ
―――ぶっちゃけ私より上手いんじゃあないですか
はぁ、朝からテンション下がりますよ
彼と同棲して早一ヶ月
毎日出来るだけ美味しい料理をと苦手ながらも奮闘していたのに、独り暮らしに慣れている彼の足元にも及ばなかったのですね
「はい、出来たで―――ってどうしたん?」
「別に」
「おやおや、お姫さんは朝からご機嫌斜めでちゅねー」
キモイから止めろ、その赤ちゃん言葉
つかなんだよお姫さんって
「そんな睨まんといてや。穴あいてまう~ってタンマ!!俺が悪かったからそんなもん投げんといて!!」
マグカップを片手に投げるポーズをとるとすぐ謝る
「ほら、冷めるまえに食べてしまお?ちょお自信作やねん!お前にあわせて少しクリーミーに作ってみました!!」
「―――」
無言で食べてみる
少し不安そうな彼の顔
笑える
でも極力顔には出さないで――
「―――美味しい」
私好みの味
わざわざ朝早くに起きて
こんな手間暇かけて
やっぱり、少しにやけてしまう
以外と可愛いところあるじゃん
「やっぱお姫さんは笑ってる顔が一番や、かわええ」
「今度はクリームシチューが食べたいな」
「ええで、まかしとき!可愛い可愛いお姫さんからのお願いや。めっさ美味いもん食わしたる!!」
いつの間にか私の機嫌もなおり逆に急上昇
最後にデザートを出され、そこまで出来る彼に少し殺意も覚えたが、美味しかったのでまぁよしとしよう
まあ、こんな朝もたまには悪くないかな
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