458人が本棚に入れています
本棚に追加
「自意識過剰め」
「誰がや」
「あんた以外におるわけないやろ、隠れブタめ!」
「うるさい!気にしてんのやから言うなアホナナセ!」
「アホって言うやつがアホなんじゃい!」
「何おうっ!」
いつもの口喧嘩が始まって、校庭で部活を始めている生徒たちが次々に振り返った。そんなのも気にせずににらみ合っていたら。
「わ、仲ええなぁ、ふたりとも」
いつの間にかもうすぐそこだった昇降口のところに、人影。といってもその可憐な声ひとつ、聞き分けられないやつはこの学校にはいない。
「レナちゃん!ちょお聞いてや、大倉がな!」
「はぁ?ちょ、待てや!今のは七瀬が!」
「ホンマに仲ええねぇ。うらやましいわぁ」
くすくす笑いながらそう言う学校のアイドル的存在の彼女を見て、きょとんと呆けてしまった。
(うらやましい、なんて)
これは喜ぶべきところではない、と思った。
最初のコメントを投稿しよう!