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      「自意識過剰め」   「誰がや」   「あんた以外におるわけないやろ、隠れブタめ!」   「うるさい!気にしてんのやから言うなアホナナセ!」   「アホって言うやつがアホなんじゃい!」   「何おうっ!」       いつもの口喧嘩が始まって、校庭で部活を始めている生徒たちが次々に振り返った。そんなのも気にせずににらみ合っていたら。     「わ、仲ええなぁ、ふたりとも」     いつの間にかもうすぐそこだった昇降口のところに、人影。といってもその可憐な声ひとつ、聞き分けられないやつはこの学校にはいない。     「レナちゃん!ちょお聞いてや、大倉がな!」   「はぁ?ちょ、待てや!今のは七瀬が!」   「ホンマに仲ええねぇ。うらやましいわぁ」     くすくす笑いながらそう言う学校のアイドル的存在の彼女を見て、きょとんと呆けてしまった。     (うらやましい、なんて)     これは喜ぶべきところではない、と思った。      
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