1★奪われたファーストキス

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「…ったく,夜道を女一人で歩くんじゃねぇよ。危ねぇだろ。」 ちょっと呆れたように青年は言った。 「今度から気をつけます。助けてくれてありがとう。」 なるべく笑顔で言ったつもりだけど。 「作り笑顔バレバレ。無理して笑わなくていいって。気持ちは伝わったから。 てかっ,お前さぁ,俺のこと知らないの?」 「はい。」 もちろん答えは即答。 知るわけないのに…初対面だし。 「知らない奴なんていたんだな。俺はアーティストとして活動してる奏。一応,高校生。お前の名前は?」 あっ,アーティスト!?!? 何でアーティストがこんなところにいるのよ。 ようやく街灯に照らされた奏は少し見上げるくらいの長身,ワックスで整えられた茶色い髪,二重の少し茶色い瞳に綺麗な顔立ち。 誰もがかっこいいと思ってしまうほどだ。 思わず見つめてしまっていた。 「おーい。聞いてる? しかもずっと俺の顔見てたし。そんなに俺がかっこよかった?」 笑いながら奏はあたしの頭をポンッと叩いた。 「ちっ,違うって!! そんなんじゃないもん。 んで…何の話しだっけ?」 見つめすぎて何を聞かれてたのか分からなかった。 「あのなぁ,お前の名前を聞いてんの。」 「あたしは姫島 紗希菜。 オレンジ高校に通ってるんだ。」 「…オレンジ高校?」
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