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「…ったく,夜道を女一人で歩くんじゃねぇよ。危ねぇだろ。」
ちょっと呆れたように青年は言った。
「今度から気をつけます。助けてくれてありがとう。」
なるべく笑顔で言ったつもりだけど。
「作り笑顔バレバレ。無理して笑わなくていいって。気持ちは伝わったから。
てかっ,お前さぁ,俺のこと知らないの?」
「はい。」
もちろん答えは即答。
知るわけないのに…初対面だし。
「知らない奴なんていたんだな。俺はアーティストとして活動してる奏。一応,高校生。お前の名前は?」
あっ,アーティスト!?!?
何でアーティストがこんなところにいるのよ。
ようやく街灯に照らされた奏は少し見上げるくらいの長身,ワックスで整えられた茶色い髪,二重の少し茶色い瞳に綺麗な顔立ち。
誰もがかっこいいと思ってしまうほどだ。
思わず見つめてしまっていた。
「おーい。聞いてる?
しかもずっと俺の顔見てたし。そんなに俺がかっこよかった?」
笑いながら奏はあたしの頭をポンッと叩いた。
「ちっ,違うって!!
そんなんじゃないもん。
んで…何の話しだっけ?」
見つめすぎて何を聞かれてたのか分からなかった。
「あのなぁ,お前の名前を聞いてんの。」
「あたしは姫島 紗希菜。
オレンジ高校に通ってるんだ。」
「…オレンジ高校?」
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