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俺の為に、ダイエットに化粧……そんな……俺と付き合う為に、そんなに頑張ったのか。
ありえないよ。だって俺だぜ。顔は老け顔、たいした取り柄もないし、特別収入だって良くない。
「麗ちゃん、落ち着いて考えて。今の麗ちゃんに俺は釣り合わないよ。もっと、格好いいやつを探した方がいいよ」
「嫌です。今の私があるのは、坂本さんのお陰。坂本さんのあの言葉が、勇気をくれたんです」
あの言葉――もしかして、あの時の。
麗ちゃん当時は、体格等の外見を気にしていた。バイト仲間から弄られるから。
ゴミ置き場で泣いているのを、何度か見たこともある。
小学生のイジメ――それを大人がした。
「麗ちゃん、気にするなって俺だってこんな顔でも平気だ。それに、あいつらはガキなんだって」
「坂本さん、すいません」
「だから、気にするなって。麗ちゃんは可愛いと思うよ。ただ、食べるの好きで太ってるけど、いい恋愛したら痩せて綺麗になれるよ」
今思えば酷い言葉だけど、麗ちゃんを慰めようと必死に言った言葉だった。
それが、今の麗ちゃんを作った。
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