3138人が本棚に入れています
本棚に追加
モデルクラスのスタイルとルックスに、柔らかな物腰。こんな女の子が、彼女だったなら。
カフェで話しながら、一瞬そんな風に考えていた。
「坂本さん。その後、彼女とかはできました?」
「出来ないよ。だって、この顔だぜ」
バイト時代から、いやその前から老け顔と内気気味な性格で、女の子にモテた記憶はない。
また、彼女が出来ても優しすぎるとか言われ、フラれるばかりだった。もう、何年も彼女なんて出来ていない。
「坂本さんみたいに、優しい人ならすぐに出来そうなのに……」
「麗ちゃんこそ、こんなに綺麗になっちゃってモテるだろ?」
「モテないですよ。仕事が忙しくて、それどこじゃないですし」
麗ちゃんは、とある商社の社長秘書をしているらしく、忙しい日々を過ごしているようだ。
社長秘書なら忙しいし、男どころでないのは分かる。
でも……
「まあ、第二秘書なので多少はお休みも頂けるんですよ」
「だったら、彼氏を探してみたら?」
「そうですよねぇ……」
その時、オレその彼氏候補にって意識は少しもなくて、昔のバイト仲間との雑談くらいの軽い気持ちで言っていた。
その後、携帯番号が変わってない事と変更したアドレスを教え合い帰った。
これが、二人の始まりの日だった。
そう、苦痛の日々の始まり……
最初のコメントを投稿しよう!