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ナビの誘導で、車は俺の行動範囲の外に連れ出される。
麗ちゃんはどこに連れて行く気だろう。段々と街並みが、お洒落な雰囲気に変わっていく。
「坂本さん、この辺には来ないんですか」
「うん、初めて来た。俺には似合わない場所だろ」
「似合う似合わないは、関係ないですよ」
関係ない事は無いだろ。俺がこんなところにいたら完全に浮くだろうし、お洒落な女の子達は、冷たい視線を向けるに決まってる。
ナビが目的地付近、到着を報せる。
おいおい浮くの分かってて、こんなとこでメシ食うのか?
「麗ちゃん、場所変えないか? この辺りはちょっと俺には……」
「坂本さん、予約してるんですよ。諦めてください」
「予約って……」
近くのコインパーキングに車を停め、二人で歩き出す。
案の定、視線が飛んでくる。
そうだ麗ちゃん美人だし、あんな男とどうしてって目で見てるんじゃないのか。
「美女と野獣」
そんな声が、どっかから聞こえる。
だよなぁ、誰だってそう見るよなぁ。あぁ、帰りたいよ。
「坂本さん、このお店です。入りましょ」
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