灰皿

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精神科に勤めていて ビックリしたことは数多い。 精神病院には隔離室なるものがあるのだが そこには自傷他害のある患者様を 収容するお部屋である。 新しい病院はきれいな部屋だが 昔の隔離室は刑務所の独房のような汚い感じの部屋だった。 その中に彼がいた。 病状は悪く、一般病棟に行けば必ず他人に危害を加えるであろう。 いつもは大声で意味不明な言葉を叫び 会話もできない状態だった。 その彼はタバコを吸うのだが 管理は看護師が行っていた。 ある日の事、診察の為に彼の部屋に行った。 彼はタバコを吸いたいと要求。 看護師がタバコと灰皿を準備するという。 しかし私は部屋の隅にある陶器の灰皿を見つけた。 「灰皿は部屋にありますよ。 でも部屋の中に陶器の灰皿を置きっぱなしというのはまずいんじゃないの?」 看護師は不思議な顔をし、 「すみません」と謝り タバコを持ってきた。 私は彼に 「灰皿もっておいで」というと 素直に持ってきた…。 ん? んんんっ? 何か匂う…臭い。 便を失禁(もらすこと)したのか? いや、違う。 よく見ると う○こで見事に作られている灰皿が目の前にあった…。
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