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「とーうちゃーく」
そんな由紀の間延びした声と共に、五人は今回の目的地、「波里(なみざと)文化会館」に着いた。
ここは、近くの学校の吹奏楽部の定期演奏会に使われたり、講演会に使われていたりと、地域住民で知らない者はないほど、文化的行事でよく使われている場所である。
真っ直ぐここまで来たわけではないが――途中弁当を買いにコンビニに寄ったりした――意外と時間はかからず、彼らは予定時刻より少し早めに着くことが出来た。
「今日の行事」と書かれた掲示板のような所には、風光劇団のポスターが貼られている。
「入って良いの?」
「うん。そう聞いてる」
問う梓に、涼子はそう答える。五人は会館の中に入った。エントランスは天井が高く造られ、上からはシャンデリアのような証明がぶら下がり、今日の演劇がある大ホールの二階へと繋がる階段が真ん中に鎮座していた。
この会館は、大、中、小三つのホールと、いくつかの控え室があり、なかなか大きい。この地域の文化的行事が全てといっても良いぐらい、ここで行われるのは、それも一つの一因なのだろう。
入ったものの、どうすれば良いかわからない五人はエントランスでぼーっとしていた。
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