~第 二 章~『 団員 』

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円形に並べられたソファーに男子陣二人は腰掛け、女子陣三人は、他のパンフレットを見ている。 涼子は、近々あるというプロの楽団のパンフレットを興味深げに見ていた。すると、そんな五人に急に声が掛けられた。 「もしかして、池上君の教え子というのは、君たちかな?」  五人が声のした方を見ると、そこには池上と同じ位の年齢と思われる、男性が立っていた。 恐らくこの男性が――、 「石田さん、ですか?」 「ああ。初めまして、桜ヶ丘学園高校のみなさん。石田創(いしだはじめ)といいます。池上君から話は聞いている・・・のかな?」 「はい。先生の高校時代の同級生という話を伺っています」 「そうかそうか。今丁度休憩中なんだ。着いておいで」  にこり、と笑って、石田は五人を大ホールの方へ連れて行く。五人はそれに従い、後ろに着いて行った。  ホールに入ると、舞台の上で、台本を持ち、何人かが話し合っているのが見えた。恐らく、劇団員であろう。 石田は手をパンパン、と鳴らし、自分に注意を向ける。
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