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「皆!こないだ話した桜ヶ丘学園の生徒さんが来たぞ!」
その声で、劇団員の視線が一様に涼子たちに集まった。五人はどのように反応したら良いか分からず、身を強張らせる。
「あ、そういえばまだ君たちの名前聞いてなかったね」
石田が気付いたかのように言うと、何人かの劇団員が「しっかりして下さいよ、監督ー」と言って、ケラケラと笑う。
「あ、俺は浅井陣っていいます」
「俺は東条修です」
「西本梓です」
「藤本由紀、です」
「大橋涼子です」
五人が順々に自己紹介していくと、涼子が名前を言った所で、石田が驚いた顔をした。
「大橋?じゃあ、君がこの前の事件を解決したって子かい!?」
石田の驚きの声に、劇団員もざわめき出した。一人が声を上げる。長身の爽やかな男性だった。
「へえ、凄いねえ」
「いや、何も一人でやった訳じゃ……。みんなの協力あってこそでしたし……」
な、と涼子は由紀たちの方を向く。由紀と修は、少し笑いながら頷く。
だが、あとの二人は、陣はポツリと「俺何もやってねーし……」と言い、梓はそんな彼のほうを向いて、「大丈夫浅井くん。私は関わってさえいないから」と、淡々と言っていた。
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