~第 二 章~『 団員 』

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そんな彼を見て、涼子は今日来ていない級友を思い出した。一応その「彼」を誘ったのは誘ったのだが、一昨日電話をかけた瞬間、 「明後日は模試なんです、僕!大橋さんなら、僕の英語のヤバさ分かってくれますよね!?」 と電話口で叫ばれたので、涼子は「……頑張れよ」とだけ呟き、電話を切ったのを覚えている。 ちなみに彼女は、「彼」の英語のヤバさなど知ったこっちゃない。  彼ら二人の自己紹介で、その場にいた全員の自己紹介が終わり、その場にはとても和やかな空気が流れる。だが、突然、酷く不機嫌な声が響く。 「何やってるの?」  涼子がその声に振り向くと、そこには七部丈のシャツに、ジャージの下という動きやすい服装をした、少しきつめな顔立ちの女性がいた。 彼女は不機嫌そうな表情を崩さず、涼子らの方には一瞥もくれず、石田の方へ来る。 「監督――、何をやってるのかしら?」 「ああ、西井くん、君にも彼らを――」 「彼ら?……ああ、例の」  振り返って、そこで初めてその女性は涼子らを見た。というより、その少し吊った眼は、彼らを睨んでいる。
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