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涼子の下まで駆け寄ると、梓は顔の前で手を合わせ、苦笑いを浮かべる。
「ごめん、待った?」
「大丈夫大丈夫。あ、東条と浅井は先にホーム行ってるから。あとは由紀だけだな」
「ふーん。あと何分?」
「十五分。あ、来た来た」
涼子がそう言い、見た方向を梓も見ると、そこには彼女らの友人――藤本由紀(ふじもとゆき)が走っていた。
七部袖の重ね着に、ジーパンを履いている。二人の下に来ると、額に薄く浮かぶ汗を拭い、言う。
「ごめんごめん!寝坊しちゃった!」
「由紀ちゃんは朝弱いもんねー・・・」
「まあ、間に合ったからいいじゃん。行こーぜー」
全員揃ったことを確認すると、涼子は二人を促す。二人は涼子に続き、駅の構内へと入っていった。
切符を買い、乗る予定の電車が止まるホームへ行く。着くとそこには、彼女らの同級生の東条修(とうじょうしゅう)と、浅井 陣(あさい じん)が既にいた。
「おはよ。西本、藤本、涼子ちゃん」
「よう」
挨拶をした彼らに三人も挨拶を返すと、入ってきた目の前の電車の三両目に乗り込んだ。
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