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「ああ。俺の中学、高校の同級生が今、この『風光劇団』というところの監督をやっていてな。そして、今度この近くで劇が行われるらしい。大橋、お前演劇部だろう?参考になると思うぞ~」
そう言って、池上は一枚のパンフレットを彼女に渡す。一通り目を通すと、彼女はパンフレットから目を話し、池上に問う。
「へえー……。で、何であたしなんですか?」
「この前の事件、解決に協力したそうじゃないか」
そう言って、池上は嬉しそうに笑む。きっと、この前の事件を担当した刑事――近藤勇治(こんどうゆうじ)から聞いたのだろう。
「そのとき、石田――、この劇団の監督から今度近くで劇をやるという話を聞いて、是非労ってやろうと思ってな」
「それってえこひいきじゃないですか?」
「校長も賛成だ」
「……マジですか?」
自分の学校の校長は、結構な堅物であると聞いていたんだけど、と涼子は心の中で突っ込む。
「まあ、とにかく五枚チケットがある。適当に四人誘え――」
そんなことを言われた、二日後の今日である。
一応名目上「事件の労い」となっているので、事件に関わった人間を中心に誘ったのだが、全員揃わなかった。
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