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一回消えたら戻ってこない………
分かってる。分かっているんだ。だから…
「ん~」
俺は髪を洗う間も
「あ~」
体を洗う間も考えた。
「なんか忘れてる…」
「なん?」
「いや……」
凛は、アイスを食べながら聞いてくる。
俺が入ったのは凛の後だったから、凛の頭にバスタオルが被せてある。
服装はパジャマ。もちろん猫様が多数ご在席賜(たまわ)っておられます。
凛が食べているのはソーダ味のアイスで
デカイ割には財布に優しい
小中高生の味方
坊主頭がトレードマーク
でも身体ちっさい
ガ○ガ○君だ
「お兄ちゃんのもあるよ」
そう言って俺の分の○リ○リ君を差し出してきた。
「ども」
兄妹並んでアイスを食べる絵は、なかなかにシュールだろう……
余談ではあるが、二人合わせて約120円。当たらず……
「さて、皿洗うか」
「がんば~」
俺は台所に向かう。よし、始めよう。スポンジを手に取り、洗剤を垂らす。
わしゃわしゃ×∞…………
皿を手に取り、スポンジを滑らせ始める。
テレビに目を向けると、どっかの学校の教師が飛び降り自殺したというニュースが流れていた。
理由は、言うこと聞かない生徒の指導に疲れたそうな……
「死ぬこたなかろうに…」
にしても、飛び降り自殺か…なんか引っ掛かるな……
もう少し…もう少しで思い出す気がする…たしかあれは……
「いやぁぁあ…!!」
悲鳴。
声の主は凛。
何事かと思えば、アイスが棒から落ち、床にべちゃん。おじゃん。
あ~ぁ、Mr.ガ○ガ○が泣くぞ?
俺は雑巾を凛に投げ、洗い物に戻った。
あれ?なんか思い出すんじゃねぇっけ?なんだっけ?
…
……
………
…………
……………あ。
ああぁぁぁああああああああ…!!!!!!!
白石十夜、思い出しました。
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