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教師の身投げ………
普通の高校生ならばショッキングな場面だろう。
だが、俺は慌てない。
帰り支度を整え、席をたった。
でもまぁ、手向けの一言でも添えてやるか。
「いいか……今時こんなご時世だ、心配すると思ったら大間違いだぞ?」
ガラガラ……
ドアを開けて俺は一階の教室を出た。
さようなら教師。また会う日まで。
もしもその時が来るならば、いっそ全ての記憶が消えている事を切に祈る。
教室を後にした俺は、下駄箱に向かった。
(しっかし……留年かぁ)
俺の頭は、あの衝撃的な事実で一杯だった。
だから……
「悩み事かな?少年」
という耳障りな雑音も、雑音として処理したわけで……
靴を履き替え、帰路についた。
「何を悩んでいるのかな?お兄さんに話してごらん」
勉強が出来ないわけじゃない。
「………聞こえているのだろう?」
やればできると思う。
「……無視がどれ程心を傷つけるのか分かってんのか!?」
だけど、やる気が無いんだから仕方ないだろ?
「あ~いいよ!!そういうことすんのか!!分かったよ。もうお前から借りた500円返さないもんね~だ!!十夜のバカ。アポ。星になっちゃえ!!」
どうしたもんかなぁ……
「…ごめんなさい。500円返すから無視しないでっぽぉ……」
裏拳。
「っるせぇ!!人がどれだけ深刻に悩んでると思ってんだ!!」
「十夜…理不尽だよ…」
「理不尽?理由は殺る気がわいた」
「でも裏拳は酷いやぃ……」
「お前抱きつこうとしたろうが…」
「まぁ、やっぱり見ていてくれたのね?十夜様ってばステキですげはぁ……」
よく分からない方のために、一連の動作を説明しよう。
十夜無視→抱きつき→裏拳→悶絶→会話→もう一度抱きつき→ハイキック→撃沈。
といった感じだ。
この緩いながれで、こいつの説明もしよう。
同級生Aだ。
「十夜!!この竹之内 鷹哉が来たからには、お前の悩みも霧散するぜ!!」
片目を瞑って親指を立ててやがる。
こいつもウチの教師と同じ匂いがするなぁ……
まぁいい、コイツは竹之内。保育所からの腐れ縁。
っていうかコイツの頭は本当に腐っていると思う。
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