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「刀弥、帰るぞ」
少し休もうとした瞬間、今度はメリアさんが僕の机になってきた。
テストの出来が良かったのか、メリアさんの表情はいつもより明るい。
「うん…、でもちょっと休ませて」
テストで脳をフル回転させてクタクタだ。
「? そんなに難しい問題だったか?」
メリアさんが言うとおり、今日のテストは比較的楽な問題が多かった。予習復習をしっかりしていれば七十点は堅い。
ただ、最近休みが多かった僕を狙ったように、休んでいた時に習った部分ばかりがテスト範囲だった。
「誰かの謀略かと思った」
そう易々と人を疑ってはいけないが、我がクラスの担任は妬みと嫉妬心に満ち満ちたクラスの大ボスだ。ワザと他の先生を巻き込んで問題を作った可能性は拭いきれなかった。
「ははは、確かにあの担任ならやりかねんな」
僕が休んだ時には一緒に休んでいたメリアさんは平然としている。
やはりそこが地力の差なのかと思ってしまう。
「メリアさんは良かったみたいだね」
「うむ、担任が今回のテストの責任者になったと聞いて、刀弥が休んだ辺りを出題してくるとヤマを張ったら、見事に当たった」
へえ、そういえば僕の担任が責任者だったのか…だからあんな風に…あんな風に………。
「どうして言ってくれなかったの!?」
机に埋もれていた顔を上げ、手のひらで机を叩く。
「テストの範囲としては偏りはあるが、内容は簡単。刀弥などは文句を言うが他の生徒は文句を言わない。我がクラスの担任ながら上手い逃げ口だな」
ああ、本当に上手い逃げ口だ。
休んだ奴が悪い。そう言えば全てが流される問題の作り方。
職権濫用と言えばそうだが、問題の作成の責任者として難しい問題ばかりを作った訳ではないので、職員の間で問題にもならないだろう。
我が担任ながら抜け目ない策略だ。
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