「妬み」と書いて「したしみ」と読む奴ら

4/21
前へ
/120ページ
次へ
ブラドゥ兄弟の事件から二週間が過ぎた。 今日は学期試験初日。 「ふわぁ~」 欠伸をし、洗面所に到着した僕は水で顔を洗い眠気を飛ばす。 「うわ」 連日遅くまでテスト勉強をしていた僕の目の下にはくっきりと隈(くま)が出来ていた。 はっきり言って僕の学業の成績は決して良くはない。逆に悪くもないのだが、流石にテストとなると、いつもこんな状態になる。 「刀弥様」 「あっ、ありがとう神楽さん」 僕の後ろでタオルを持ってきてくれた神楽さんに礼を言い、差し出されたタオルで顔を吹く。 「昨夜もご勉強ですか?」 僕の体を心配してくれてか、神楽さんが尋ねてくる。 「うん、最近は色々ありすぎたからテスト勉強も大変だよ」 メリアさんとの一件、ブラドゥ兄弟の一件と、ここひと月でかなり学校を休んでしまった。 休んでしまったことについて誰かを責める気はないが、授業の内容に追いつけていないのも事実だった。 「メリアさんや晃が羨ましいよ」 あの二人は成績が良い。 晃は元から知勇兼備と言っても等しい完璧人間だし、意外なことにメリアさんも成績が良い。本人の前で言うと怒られるだろうが、やはり年の功なんだと推測している。 「申し訳ありません。私がお教えできれば良かったのですが…」 俯いた表情で謝る神楽さん。 「そっ、そんなことないよ!」 慌てて言い返す。 神楽さんは学生生活を過ごしていない。だから僕が中学の中頃までは勉強を見ていてもらっていたが、それ以降は彼女自身から教え役を下りていた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1539人が本棚に入れています
本棚に追加