「妬み」と書いて「したしみ」と読む奴ら

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では何がメリアさんの逆鱗に触れたのだろうか。 僕は朝の続きを思い起こす。 朝、メリアさんと一緒に登校するのが日常となっていた。 メリアさんは毎朝、必ず僕の家まで来て僕の腕に手を回して登校しようとする。 傍目から見るとバカップル以外の何者でもないのだが、メリアさんはそんなこと気にも止めていない。 いや、むしろそうすることで狼狽(ろうばい)する僕を見るためにしている気さえする。 彼女は史上最強のサディストだ。 僕が本当に嫌がることはしないが、断るに断りきれないことなら何でもやろうとする。 だから、今の状況も彼女にとっては至上の喜びに近い状況だろう。 見ればメリアさんは高揚して笑顔に満ち満ちている。 う… 周囲からの視線が痛い。 メリアさんの美貌の高さは誰もが納得する。 公認の彼氏である僕が居ても、毎日のようにラブレターが送られてくるほどだ。 そんなメリアさんと腕を組んで登校。 主に男子から殺意の籠(こ)もった視線が雨霰(あめあられ)と僕限定で降り注ぐ。 暴動が起きないのが奇跡に等しい。 「今日は社会と数学であったな」 話題をふる余裕もない僕に耐えきれず、メリアさんが話題を自らふってきた。 「えっ、あっ、うん」 歯切れの悪い返事しか出来なかった。 メリアさんが一言話す度、男子から千秋(せんしゅう)の思いに焦がれるようなため息が漏れ、僕が一言話す度、抗争直前のヤクザ屋さんみたいな殺気が放たれる。 この年で胃痛を覚えそうな状況で、まともな返事を返せるはずもない。
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