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(――死ぬかもしれない。いや死ぬっぽい。死ぬ)
うつ伏せにベッドに身を沈める男は、自らの死を感じていた。
脳(の左上前方)が割れた様な頭痛。
内臓が全てが溶けてしまったのかと錯覚する程の、心細い不快感。
それらが男を襲い、男はそれらをマイナスに享受している。
「うわ死体っぽい」
傍らから掛けられた声に疑問を覚える事なく、死体っぽい男は顔を巡らす。
「…天国からのお迎えか。やっぱ死ぬのな…俺」
「あんたが天国に行ける訳ないでしょーに。調子乗んな。まあ私は天使並みにアレだってのは解るけどねー」
言葉と同時に、死体っぽい男の顔面に水が掛けられた。
「ただの二日酔いでいつまでも…いい歳こいて酒の量も解んないの? ハゲ」
「…ハゲてない。…あと、水が多すぎる。ベッドが…」
「知るかハゲ」
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