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二人は馴染みのバーへと場所を移していた。
宵と呼ぶには早すぎる時分だが、ジャズが緩やかに流れる店内には数人の客が見受けられる。
「おふぅっ」
僅かに漂ってくる酒の臭いに、旦那は慌てて口を押さえる。
その様子を白い目で観つめなが、ファフは話を始める。
「――今回の仕事は個人からの依頼よ」
旦那が眉をひそめる。
「…内容は?」
「最近潰れた"あの"研究所の調査。研究成果が残ってる筈だから捜して来いってさ」
旦那は少しの間、何かを考える様に沈黙した。
「…それ、本当に個人からの依頼?」
ファフは頷く。
(…"あの"研究所の研究成果って…)
「…名前は?」
「匿名希望だそうよ」
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