ネガティブ思考

4/6
前へ
/10ページ
次へ
二人は馴染みのバーへと場所を移していた。 宵と呼ぶには早すぎる時分だが、ジャズが緩やかに流れる店内には数人の客が見受けられる。 「おふぅっ」 僅かに漂ってくる酒の臭いに、旦那は慌てて口を押さえる。 その様子を白い目で観つめなが、ファフは話を始める。 「――今回の仕事は個人からの依頼よ」 旦那が眉をひそめる。 「…内容は?」 「最近潰れた"あの"研究所の調査。研究成果が残ってる筈だから捜して来いってさ」 旦那は少しの間、何かを考える様に沈黙した。 「…それ、本当に個人からの依頼?」 ファフは頷く。 (…"あの"研究所の研究成果って…) 「…名前は?」 「匿名希望だそうよ」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加